レセプトって難しそうってイメージを持っている方も多いですが、今はコンピューターを使うのが主流になったので以前の手書きよりは楽になりました。
今回は、レセプトの書き方と記載内容について、医科の診療報酬明細書を例に紹介していきたいと思います。
これから医療事務の勉強をされたり、「レセプトって何を書くの?」って方は参考にされてみてください。
目次
レセプトへの記載内容を医科の診療報酬明細書を例に説明していきます。
最初に基本的な決まり事を5つ紹介します。
- 1人の患者さんが2つ以上の傷病で診療を受けた場合も、1枚のレセプトに記載します。
- 外来と入院では保険者の取り扱いが違います。同じ月に同じ患者さんが外来と入院の両方の診療を受けた場合は、別々にレセプトを作成します。
- 記載するときは、黒か青のインクを使います。修正するときは二重線で訂正し、修正液等は使いません。
- 用紙のサイズはA4です。
- 用紙内の※が付いている欄には何も記載しません。

1.いつ行われた診療なのか【①】
診療が行われた年月を記載します。※レセプトを提出する年月ではありません。
2.医療機関の情報【②】
2ケタの都道府県番号と、医療機関の7ケタのコードを記載します。
3.保険証の情報【③】
「保険の種類」「本人か家族か」「保険者番号」「被保険者証の記号・番号」の欄に、保険証の情報を記載してカルテと一致しているか確認します。
保険者番号が6ケタ | 国保(「1社・国」に〇) | |
保険者番号が8ケタ | 頭2ケタが39 | 後期高齢者医療(「3後期」に〇) |
頭2ケタが67 | 退職者医療(「4退職」に〇) | |
それ以外 | 社保(「1社・国」に〇) |
国保・社保・後期高齢者医療を使わずに、公費負担単独(国や地方自治体が負担)の場合は「2公費」に〇をつけます。同時に右隣の「1単独」にも〇がつきます。
※公費に〇がつくのは、法制番号の12、13、14、18、29、30の場合。全額公費はめったにありませんが、〇がつく場合は、「12(生活保護)」が大半です。
2本外 | 保険証が「被保険者(本人)」の場合 |
4六外 | 未就学者である患者さんの場合 |
6家外 | 保険証が「被扶養者(家族)」の場合 |
8高外一 | 高齢受給者と後期高齢者で、記載されている負担割合が1割か2割 |
0高外七 | 高齢受給者と後期高齢者で、記載されている負担割合が3割 |
保険者番号の右隣に給付割合の項目があります。この欄は自県から来られた場合は省略できます。他県から来られていて、国保か退職者医療の場合はここに記載します。
4.公費負担の情報【④】
保険の種類が公費負担に該当する場合、受給者番号を記載します。
5.氏名、性別、生年月日【⑤】
患者さんの名前、性別、生年月日を記載します。カルテと情報が一致しているか確認します。
※2018年から、氏名は漢字とは別にカタカナで記録することも推奨されるようになりました。
名前と違う読み方で入力することがありますが、その場合は後でカナを正しい読みに訂正することを忘れないようにしてください。
6.職務上の理由【⑥】
保険の種類が船員保険の場合にだけ、該当項目を〇で囲みます。
7.特記事項【⑦】
該当する項目がある場合のみ、決められた略号を記載します。
※2018年8月から70歳以上の患者さんには、必ずこの欄に記載する(26区ア~30区オのどれか)ことになりました。
8.保険医療機関の所在地及び名称【⑧】
医療機関の所在地と名前を記載します。ここは手書きに限らず、ゴム印や印刷でも構いません。
9.傷病名と診療開始日、転帰【⑨】
傷病名を記載します。複数の傷病があるときは、先頭に主傷病を書いてから、下に副傷病を記載します。
※複数の主病がある場合は、横に(主)と書いたり境界線を書くことで区別します。電子レセプトの場合はチェックを入れるだけで、主病として印刷されます。
※傷病名は、症状ではなく病気や怪我の名称を書かなくてはいけません。傷病名を記載するときは、傷病名コードがあるものを使用してください。電カル・レセコンでは必ずデータベースから引っ張ってきましょう。
診療開始日の欄には、各傷病名ごとの診療を開始した日を記載します。
転帰の欄には、その傷病の「治ゆ(治った場合)」「中止(中止または転医した場合)」「死亡(死亡した場合)」該当する箇所を〇で囲みます。
10.診療実日数【⑩】
医療保険で診療が行われて日数と、公費で診療が行われた日数を記載します。
11.各点数、摘要、合計点【⑪、⑫、⑬】
その月に行った診療の回数と点数を「各点数欄⑪」に記載します。その点数に内訳が必要な時は、「摘要欄⑫」に記載します。
各点数欄に記載した点数を合計して、「合計点数欄⑬」に記載します。電カルやレセコンでは点数が自動的に計算されます。
※2018年10月から診療分から、摘要欄にコードが設定されているものは、コード入力が義務化されています。コード設定がない項目は、従来どおりテキストで入力します。

以上が、基本的なレセプトの書き方と記載内容です。
①~⑩(初診の点数欄より上の部分)を上書き部分といいます。レセプトではまずここをミスなく書けるようになることが第一です。
診察の内容には関係なく、保険証とカルテの情報と一致していれば良いですし、習得しやすい部分でもあります。
この上書き部分にミスがあると返戻(審査から戻ってくる)になるので、きちんと訂正して再請求する必要があります。
月の途中で保険者番号が変わった場合は、それぞれの保険者番号のレセプト(2枚)が必要になります。
変更後のレセプトには摘要欄に「保険者変更」「国保から社保に変更」など記載します。保険者が変わった日を「診療開始日」として記載します。
変更前のレセプトにも、前の保険者が保険者変更になった旨を書いておいた方がよいでしょう。
保険者(請求先)が同じであれば1枚のレセプトでも構いません。変更後の記号・番号でレセプトを作成します。

レセプトの業務内容(種類や計算方法)や審査の流れは、以下の記事にてまとめてるので参考にしてみてください。
