
レセプトについて紹介していきます。
レセプト業務は、医療事務の仕事の中でも中心となる業務です。
初めて学ぶ方であれば「レセプトって何?」「どんなことをする仕事なの?」など、よくわからないという方も多いと思います。
そこで、レセプト業務の仕事内容や取得しておくと役立つ資格について紹介します。
目次
医療機関で患者さんは保険証を提示することで、治療費の一部だけを支払います。
残りの治療費は「保険者(健康保険料の支払い先)」に請求しなければいけません。
- 社会保険診療報酬支払基金(支払基金)
- 国民健康保険団体連合会(国保連合会)
レセプトとは、医療機関が保険者に対して請求する明細書のことです。
そして実際に診療報酬の請求を行うのが「レセプト業務」です。
レセプトは月末締めで、それぞれの患者さんに対して1ヵ月分を作成します。
作成したら、翌月10日までに審査支払機関に送ることで、残りの医療費(診療報酬)を請求します。

月末から翌月10日までが、医療事務(レセプト担当)にとって最も忙しい時期です
診療報酬は大きく4つに分けられます。
医療機関 | 「医科診療報酬」「歯科診療報酬」 |
調剤薬局 | 「調剤診療報酬」 |
薬材料 | 「薬価基準」 |
医療材料 | 「材料価格基準」 |
保険診療では、診察の難易度によって報酬の料金が点数化されています。この診療報酬の点数をまとめたものが「診療報酬点数表」です。
1点あたりの単価は10円と決められていて、合計の点数に10円をかけた金額が診療報酬として医療機関に支払われます。
診療報酬点数表は以下の4種類に分けられていて、働く医療事務のタイプによって計算すべき点数表が異なります。
①医科診療報酬点数表
②歯科診療報酬点数表
③薬剤報酬点数表
④診断群分類点数表(DPC点数表)

それぞれの医療機関で目的に合った点数表をもとに、レセプトを作成していきます。
診療報酬の計算方法には2つの種類があります。
行った医療行為を点数表に従って積み上げて合計する方式です。
定額報酬で、どれだけ医療行為を行っても支払額が変わらない方式です。
昔は電卓やそろばんを利用して手動で診療報酬の計算を行っていましたが、現在はそのほとんどが「医事会計システム」を利用して行われています。
今は医療事務職員が医事会計システムの端末機から診療行為の収益情報を直接打ち込むか、オーダーエントリーシステムで医事会計システムに診療行為の収益情報を自動的に取り込むかの2つ。
このように診療報酬を点数表から計算して、保険者に提出するために毎月作成しなければいけないのが「レセプト(診療報酬明細書)」です。

レセプトを作成したら、審査機関に提出する前に内容に不備がないかきちんと点検します。
もしレセプトの内容に誤りがあると、審査機関から差し戻しをされたり、実際の診療報酬よりも少ない金額が支払われることもあります。
審査支払機関には2種類あります。
支払基金 | 社保(協会けんぽ、共済組合、組合保険)や生活保護への請求を取りまとめる |
国保連合 | 国保(市町村、国保組合)と後期高齢者医療への請求と取りまとめる |
審査支払機関では、レセプトの内容に誤りがないか厳正に審査をします。
問題がなければ各保険者に請求を行い、翌月の支払日に各医療機関に診療報酬が支払われます。

レセプトは提出前にしっかりとチェックします
審査の結果には以下のようなものがあります。
返戻 | レセプトに記入漏れやミス・不明な点があり、差し戻されること。 |
査定 | 請求内容が適切でないと判断されて修正された額で支払われること。 |
返戻されたレセプトには、返戻内訳書がついていて、差し戻された理由が記載されています。
その内容を確認して、再点検を行い修正や注記を行ったうえで再提出することができます。
ただし再提出には時間と手間がかかってしまうので、医療報酬が支払われる時期は大幅に(1ヶ月以上)遅れてしまいます。
査定には増点・減点の2種類がありますが、ほとんどが減点です。そして減点の場合、返戻とは違って修正して再提出することはできません。
減点の処置がとられた場合も、内容に納得がいかなければ、担当医と協議したうえで再審査請求を行うことができます。
この再審査請求は原則として6ヶ月以内に行う必要があります。

誰にだってミスはあるので、差し戻されても慌てずに対応しましょう!
医療事務の中でも最も認知度のある資格です。1994年に開始され、年に2回試験を実施しています。
レセプト業務の最高峰で信頼度も高い資格ですが、難易度が高いことでも有名です。

年間で約5万人が受験する医療事務関係で最大規模の資格です。合格すると「メディカルクラーク」を名乗ることができます。
難易度はやや高めで、合格率は60%程度。

1969年から実施されている歴史の深い医療事務の認定試験です。合格すると「医療事務管理士」を名乗ることができます。この医療事務管理士は2005年に商標登録されています。
